そこが知りたい! 一級建築士に聞く!

リフォーム・新築ご検討中の方 IoT家電時代
先を見越した10ギガ配線を!

2019.04.01

このコラムでは……
一級建築士と独立社会福祉士の両方の視点から安心して暮らせる住環境を提案し、他にはないオンリーワンのサポートを続けている一級建築士 斎藤 進一さんに「これからの新しい住まい」についてお伺いします。

1990年代初頭からインターネットが普及し、今や無くてはならない情報ツールの1つになりました。これからのインターネット環境はスピードと情報量の多さがキーワードになります。また、IoT家電の普及によりどの家庭でも家電製品・空調設備・照明・防犯設備などがインターネットを介して操作する時代がやってきます。

2019年10Gbpsの超高速回線が本格始動

現在の各インターネット会社における光回線は1Gbpsが一般的です。しかし、今後はIoT家電の普及により家庭内外でのインターネット通信量が膨大に増える可能性があることと、動画閲覧・オンラインゲームなどがストレスなく通信できるよう、10Gbpsの超高速インターネットサービスが既に開始されています。

今までの10倍!10Gbpsのメリットは

さまざまな機器が通信する家庭でのインターネットでは、帯域の広さが重要になります。通信帯域が広くなることで複数の機器が同時に通信しても速度が遅くなりにくくなったり、映像が遅くなりにくくなったりするメリットがあり、多端末接続(IoT家電をはじめ高画質の動画閲覧やオンラインゲーム、ネット上での重要な仕事、大量のデータバックアップなど同時接続)において非常に優れています。
インターネットを利用する人の数が多くなる時間帯や、マンションなど集合住宅などでは接続スピードが遅くなることがあり、10Gbps契約で通信量が一般の光回線の10倍になるということは繋がりやすくもなるのでストレスになりません。

ただし、従来の規格に比べて信号レベルが100分の1と大変弱いので、各端末のアース接続やLAN配線をシールド仕様にするなどの配慮が必要となります。

これらを可能にする10Gbps対応のLANケーブルの導入は、現在1Gbps契約をされているご家庭においても無駄にならない早めの対策だと言えるでしょう。
10Gbps対応のLANケーブルは、従来のカテゴリー5eの5倍、カテゴリー6の2倍の周波数500MHzという広帯域を使用しており、安定した高速データ通信を可能にしました。通信障害の大敵となるエイリアンクロストーク(隣接するケーブルからのノイズ)やバックグラウンドノイズ (携帯電話, テレビ, 無線機器, 送電線等のノイズ) 対策の耐ノイズシールド設計となっています。合わせてモジュラージャックも10Gbps対応の耐ノイズシールド設計にすることをお忘れなく。

LANケーブル(Cat6Aタイプ)10ギガインターネットサービス対応で余裕のある接続ができる。

一方で、回線からルーターまで10Gbps対応のLANケーブルを導入したとしても、住宅内のWi-Fi環境が交通渋滞を起こしていてはせっかくの超高速の恩恵が受けられません。

では、住宅内の無線環境について確認しましょう。

無線LANとWi-FiとBluetoothとは

何気に使っている無線LANと Wi-Fi (ワイファイ)Bluetooth(ブルートゥース)って何が違うのでしょう。
無線LANはケーブルを使用しないネット接続のシステムを指します。無線LANルーターには親機と子機が必要ですが、最近は受信側のパソコンやスマホなどに内蔵されているのが殆どです。プリンターやデジカメにも無線LAN対応の機種も増え、データのやり取りが楽になりました。無線LANは通信できるエリアが限られ通信速度が遅いというケースもあります。
Wi-Fiは無線LANの規格の1つです。規格は「IEEE802.11」で「Wi-Fi Alliance」という団体に認証された製品がWi-Fiブランドを名乗れます。Wi-Fiは数百メートルまで電波が届くのが特徴です。
BluetoothもWi-Fi同様にケーブルを使用しないネット接続のシステムで、規格はIEEE802.15.1になります。Wi-Fiより通信距離が短く数十メートルが限度なため比較的近くでの相互通信に利用されることが多いです。

無線LANと有線LANを組み合わせた賢い選択 全館Wi-Fiシステムとは

無線LANの規格による違いと特徴を見てみましょう

次世代規格 IEEE802.11ax 9.6Gbps

2.4GHz

5GHz

2.4GHz帯は5GHz帯よりも先に無線製品が多く出ていることと、室内で異なる部屋での利用では2.4GHz帯のほうが届きやすいのですが、同じ周波数を使用するBluetoothやコードレス電話、また電子レンジのノイズも2.4GHz帯のため電波干渉が問題となります。

そこで、各部屋までは確実に届く有線で送り、コンセント埋込型Wi-Fiアクセスポイント「Wi-Fi AP UNIT」から無線で飛ばす全館Wi-Fiシステムは有効なシステムと言えます。

アバニアクト コンセント埋込型 Wi-Fi アクセスポイント
Wi-Fi AP UNITを見る

Wi-Fiアクセスポイントと壁面コンセントが一体化。
2.4GHz/5GHzデュアル対応でストレス無くWi-Fiがつながります。

多数のIoT家電が同時に通信するので10Gbpsの超高速回線が安心

ご家庭ではリビングなどに設置された無線LANからWi-Fiルーターで各所に飛ばすのが一般的だと思いますが、先に述べたような電子レンジやBluetoothの電波干渉を受け、通信速度が遅くなってしまったり、遮断されたりしてしまってはWi-Fiの意味がありません。
今後、各部屋のエアコン・給湯器・冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機・空気清浄機・AIスピーカーなどIoT家電において多端末接続するようになると、通信容量が少なくても同じタイミングでそれらが重なれば通信速度が遅くなります。
ですが、10Gbpsであれば通信速度に余力があるのでストレスなく安定した通信が可能になります。
IoTの進化は端末が2年毎、インフラが10年毎と言われてきましたが、10年後は予想しがたいので10年後を見据えた配線計画が必要になります。新築・リフォームにおいて全館Wi-Fiシステムにより10Gbpsを早めに対策することで、将来も安定したWi-Fi環境でIoT生活を楽しめるのではないでしょうか。

間取りの決定と合わせてしっかり配線計画を行いましょう。
新築やリフォームをご依頼されているハウスメーカー様または工務店様との設計計画の際にご検討ください。

【執筆者プロフィール】
やすらぎ介護福祉設計 斎藤 進一

「夢をかたちに」という抽象的な理想を追い求めるのではなく、お客様のライフスタイルを重視した現実的で機能的な心地よい住まいづくりを心がけています。
バリアフリー住宅、二世帯住宅、障がい者・高齢者住宅、認知症の方の住宅、各福祉施設等、他には無い独自の視点でやすらぎの空間をご提供いたします。

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