因幡電機産業の価値創造プロセス

因幡電機産業は、「省エネルギー、省資源など地球環境に配慮し、豊かで快適な社会づくりに貢献する」を経営の基本理念として、健全な財務状況を保持すること、社員・拠点・企業ネットワークの力を高めること、お客様の持つ多様な課題の解決に貢献することに全力で取り組み、当社の財産であるステークホルダーの皆様との信頼関係を築いてきました。
幅広い商品ラインナップや製品開発力、事業パートナーとの連帯などを強みに戦略的に事業を展開し、電設資材業界のリーディングカンパニーとして社会インフラを支える商品・サービスを提供しています。また同時に、事業を通じた社会価値の創出によって、豊かで快適な社会づくりに貢献しています。

中期経営方針・目標

中期経営計画(2025~2027年度)

2025~2027年度の中期経営計画における最終年度(2028年3月期)の数値目標は連結売上高4,300億円、連結営業利益295億円です。
当社グループを取り巻く経営環境は、原材料価格や為替相場の動向、米国の関税政策の影響など先行き不透明な状況が続くものの、大都市圏における再開発や企業における設備投資需要の継続などを背景に底堅く推移するものと予想されます。
このような認識のもと、当社グループは中期的な成長を目指し、①自社製品(PB商品を含む)の開発・拡充、②省エネ・省力化ソリューションの推進、③首都圏市場におけるシェア拡大、④グローバル展開の加速、⑤事業領域の拡大、⑥サステナビリティ経営の推進といった重点施策を着実に実行していくことによって企業価値の最大化を追求していきます。

中期経営計画における数値目標

重点施策①自社製品の開発・拡充

空調分野の「INABA DENKO」、住宅分野の「アバニアクト」、産業分野の「パトライト」、電設資材分野におけるプライベートブランドの「JAPPY」の各ブランドにおいて、新製品の開発・拡充を図るべく戦略的な取り組みを進めていきます。
また、更なる成長に向けて、新たに研究開発施設「イノベーションセンター」の建設を決定しました。事業拡大に伴う人員増加や、新分野の研究に向けた設備の導入を可能とするほか、本施設に当社の持てる技術を集約し、研究開発から検証、生産体制の構築まで一気通貫で実施できる環境を整備することで、製品開発のスピードアップを実現します。

重点施策②省エネ・省力化ソリューションの推進

「2050年カーボンニュートラル」に向けて、LED照明や太陽光発電部材の拡販に加えて、環境商材の更なる普及に向けて商材情報の収集と分類を進めており、プロモーションの強化や新商材の発掘に活かしていきます。また、取引先である専業メーカー各社の機器を組み合わせた商品の提案や、省力化に向けた協働ロボットの導入やシステム構築などの支援に注力していきます。

重点施策③首都圏市場におけるシェア拡大

市場規模が関西の約2.5倍あると推測される首都圏での営業強化を図るため、「人員の増強」と「スキル向上」に努めていきます。また、業界構造等の変化を敏感に捉え、変化に柔軟に対応すべく、体制の整備を行いつつ売上拡大を図っていきます。

重点施策④グローバル展開の加速

空調分野の「INABA DENKO」において、アメリカの現地法人であるInaba Denko Americaを軸に北米での「因幡電工」ブランドの拡販に注力しているほか、欧州市場向けのローカライズ製品を開発しています。
また、子会社であるパトライトにおける製品開発力や販売網に加え、子会社SOEによる空調部材の海外製造などを活用し、グループ一丸となって積極的な海外展開を推進していきます。

重点施策⑤事業領域の拡大

電設資材事業では、統合IPネットワークなどを取り扱う情報通信分野への進出を目指しているほか、産業機器事業では協働ロボットをはじめとしたメカトロ分野の開拓に加え、電子事業の拡大を推進していきます。また、自社製品事業では管工機材分野への進出を目指し、新製品の開発・研究を進めていくなど、各事業において既存事業の隣接領域を狙って業容拡大を図っていきます。
今後、既存事業とのシナジーが見込まれる新たな分野に向けた営業推進や製品開発を通じて、顧客課題の解決に努めていきます。

重点施策⑥サステナビリティ経営の推進

社会的責任におけるマテリアリティ(重要項目)として「多様な現場で最適なソリューションの提供」、「くらしを支える技術の追求」、「持続可能な地球環境の実現」、「安全な社会資本の整備への貢献」、「絶えざる進化への創造と革新」、「社会と共に栄える組織づくり」を掲げ、適切なコーポレートガバナンス体制のもと、事業活動を通じて社会課題の解決に取り組みます。

因幡電機産業のマテリアリティ

因幡電機産業では、多方面にわたる社会的責任に関する項目について、「環境・社会・経済に対する影響度」及び「当社の持続的成長に対する影響度」から重要度を評価し、当社が優先的に取り組むべきテーマとして6つのマテリアリティ(重要項目)を選定しています。
選定したマテリアリティを事業活動に落とし込むことで、持続的な成長を果たしながら社会課題の解決へ貢献することを目指します。

多様な現場で最適なソリューションの提供

現場ごとに異なる多様な課題の解決をサポート

自動車の部品点数は2~3万点と言われていますが、住宅はそれを上回る10万点。ビルや商業施設、生産工場となればさらに多くの部材が使用されることになり、現場ごとに必要な知識や技術は異なります。因幡電機産業は多様な部材調達を必要とするお客様に、機能・品質・価格のバランスのとれた商品をタイムリーに提供するとともに、幅広い知識を活かした商材提案や技術支援を行っています。また、生産性向上・省力化ソリューションの提案に注力することで、多くの現場の課題となっている人手不足の解消をサポートしています。

くらしを支える技術の追求

社会の改善につながるソリューションを創出

因幡電機産業の特徴は、商社でありながらメーカーとしてものづくりができることです。現場に近い技術商社ならではの「ニーズに即応した開発力」を活かし、空調・住宅・産業分野におけるオリジナル製品の開発や、電設資材のプライベードブランドの構築を通して社会の改善につながるソリューションを生み出しています。また、更なるイノベーションの促進と新たなコア技術の獲得を目指し、パートナー企業との共同開発や産学連携研究を積極的に実施しています。

持続可能な地球環境の実現

環境ソリューション提案を強化

経済発展や技術革新により生活は豊かになりましたが、一方で地球温暖化、環境汚染、資源の大量消費が問題になっています。因幡電機産業は持続可能な社会の実現のため、再生可能エネルギーの普及や高度制御技術の導入支援等を進めています。近年は新たに環境商材情報の収集と分類を進めており、商材ごとの環境への貢献を可視化することで、積極的なプロモーションや新商材の発掘に向けた機運を高め、サプライチェーンを巻き込んだ環境ソリューション提案の強化を目指しています。

2024年度 環境商材売上高 508億円(LED照明、省エネ機器販売、省施工製品、生産性向上関連製品)

安全な社会資本の整備への貢献

レジリエンスの高い社会インフラの構築

私たちの生活や産業は、多くの社会インフラ(社会基盤)に支えられています。送電網や配電設備等の電力インフラ、道路や電車等の交通インフラ、移動体通信・IPサービスを支える通信インフラ、さらにはビルや住宅等の建築物も大切な社会インフラです。今、日本ではこれらの老朽化対策や防災力の強化が急務であり、これからの50年を支え続ける強靭な社会インフラの整備が求められています。因幡電機産業は、安全・安心な社会資本の整備に寄与するため、人や建物に対する脅威を技術的に洗い出し、様々な使用条件に適合する商品・サービスを提供しています。防火、耐震、耐騒音、防水、耐風、避雷、防犯、安全な施工等、当社が向き合う安全・安心の領域は広がっていきます。

絶えざる進化への創造と革新

満つれば欠く

因幡電機産業のロゴマーク「欠ける月」には「常に欠けた部分を持ち続け、それを埋めるための挑戦を続けよう」という成長への強い姿勢が示されており、当社が永遠に成長、発展し続けるための「完成への絶えざる創造」を表現しています。当社では現在、既存事業の枠組みにこだわらず、各セグメントで隣接領域に向けた業容拡大に挑戦しています。また、社員一人一人が能力や持ち味を最大限に発揮できるように、職責に応じた様々な研修プログラムを実施するほか、プログラム外の自己啓発を支援する制度を充実させ、人的資本の強化に取り組んでいます。


ロゴマーク

社会と共に栄える組織づくり

業界をリードして社会課題へ対応

因幡電機産業は、社是を「われわれは 誠の心をもって 世の中を明るくするためにはたらく」と定めています。信頼される企業であり続けるため、コンプライアンス経営を第一義とし、法令や倫理を遵守することはもちろん、業界のリーディングカンパニーとして社会課題への対応にあたり、ステークホルダーの持続的な発展に貢献します。また、社会との共存共栄の精神のもと、業界発展への貢献や被災地域への支援、多様な人材が活躍する職場の構築などに取り組んでいます。


 マテリアリティの特定プロセス

サステナビリティ経営の具体化に向け、 2038年に迎える創業100周年を見据えて課題視点(環境・社会・経済状況の変化が与える企業活動への影響)と事業視点(企業活動が与える環境・社会・経済への影響)の双方から機会とリスクを洗い出し、対応方針を整理しました。


「環境・社会・経済に対する影響度」及び「当社の持続的成長に対する影響度」の観点から各対応方針の重要度を評価し、当社が優先的に取り組むべきテーマを抽出しました。



重要度の高いテーマを活動ごとに分類し、サステナビリティ推進会議における議論を経て6つのマテリアリティを特定するとともに、在るべき姿の実現に向けてKPIを設定しました。


重要テーマの評価マトリクス


重要な社会課題・トレンドの分析

社会課題・トレンド 機会(+)・リスク(ー) 機会・リスクへの対応 マテリアリティ
・顧客ニーズや商材の多様化、高度化
・デジタル技術の進歩
(+)新商材の販売機会出現
(+)デジタル技術の活用による業務効率化

(ー)変化への対応の遅れによる機会損失
(ー)既存商材の需要減少
・幅広いネットワークを活かした新商材の発掘
・購買データの活用による販路開拓
・ソリューション提案力の強化
多様な現場で最適なソリューションの提供
・人口減少、高齢化
・労働規制の強化
(+)省力化ソリューションへの需要拡大

(ー)労働力不足によるサプライチェーンの停滞
・省施工製品の開発、省力化設備の販売促進
・他社との協業、産学連携の推進による技術獲得
・エンジニアリングスキルの習得による現場対応力の向上
くらしを支える技術の追求
・地球温暖化の進行
・資源の枯渇
(+)環境商材の販売機会増加

(ー)環境影響や資源枯渇が懸念される商材の需要減少
(ー)環境規制強化による事業への制約
・仕入先様との協働による環境商材の普及促進
・生産工程における原料の有害物質制限、再利用の推進、代替原料の研究
持続可能な地球環境の実現
・大規模災害の増加
・犯罪の増加
(+)防災・減災・防犯ニーズの高まり
(+)国土強靭化予算増加

(ー)大規模災害による事業停止
・防災・減災・報知分野における技術向上
・防犯製品の提案力強化
安全な社会資本の整備への貢献
・建設着工数の減少、頭打ち
・国内経済の停滞
(ー)市場の縮小
(ー)業界内の競争激化
・隣接事業への進出
・グローバル展開の加速
・デジタル技術を用いた業務効率化
絶えざる進化への創造と革新
・企業の社会的責任への要求
・労働移動の活発化
(+)社会貢献性への評価による企業価値向上
(+)人材獲得の成功による競争力向上

(ー)社会的責任を果たさないことによる企業価値毀損
(ー)人材流出による競争力低下
・コンプライアンス体制の強化
・人的資本経営の推進
・多様な人材が活躍する職場の構築
社会と共に栄える組織づくり

マテリアリティ一覧表

マテリアリティ 在りたい姿 対応方針 対応セグメント KPI
電設資材 産業機器 自社製品
多様な現場で最適なソリューションの提供 調達力や技術力を活かした独自のソリューション提案によって、現場ごとに異なる多様な課題の解決をサポートします。あらゆる現場で最も信頼されるパートナーを目指します。 新商材の発掘
購買データ活用による販路開拓、提案力向上
新商品売上
新顧客向け売上
ソリューション提案力の強化 対象研修受講人数
提案件数
物流拠点の増加、効率化 物流関連投資額
くらしを支える技術の追求 社会の改善につながるソリューションの創出を通して、豊かで快適な社会づくりに貢献することを目指します。そのために、常に技術の獲得や知識の向上に努めます。 研究開発力の強化 新製品数
自社製品売上高
他社との協業
産学連携の推進
プロジェクト数
エンジニアリングスキルの向上 対象資格者数
持続可能な地球環境の実現 エコフレンドリーな商品の普及や地球環境に配慮した事業運営に努め、脱炭素社会への移行や生物多様性の維持に貢献します。 環境商材の普及推進 環境商材売上
GHG排出量の可視化および削減 GHG排出量
生産工程での原料再利用の推進 包装資材リサイクル率
不良材のリターン率
安全な社会資本の整備への貢献 防災・減災及び防犯に資する設備の提案や製品の開発に努め、安全で災害レジリエンスの高い社会インフラの構築に貢献します。 防災・減災・報知分野における技術向上 対象資格者数
防災・減災製品売上
防犯製品売上
防犯製品の提案力強化
絶えざる進化への創造と革新 現状に満足することなく、己に欠けた部分を埋めるための挑戦を続けます。 新規事業への挑戦 新規事業プロジェクト数
海外を含む未進出地域の開拓 拠点開設数
エリア別売上高
商流を巻き込んだ業務機能強化 業務工数削減量
取引におけるデジタル化率
社会と共に栄える組織づくり 法令や倫理を遵守し、誠の心をもって世の中を明るくすることを目指します。また、業界をリードして社会課題への対応にあたり、ステークホルダーの持続的な発展に貢献します。 多様な人材が活躍する職場の構築 女性管理職数・女性総合職数
中途入社社員数
社員エンゲージメント指数
社会・業界発展への貢献 展示会出展数
スポーツ・文化事業への協賛数
被災地域等への寄附額
人的資本経営の推進 人材への投資額
人材定着率
コンプライアンス体制の強化 コンプライアンス教育受講率