事業等へのリスク

事業の運用や継続に影響を与える社会・環境リスクへの対応

因幡電機産業は、お客様のサプライチェーンの一角として多様な商品を供給しています。万が一、当社の機能が失われるとサプライチェーンさらにはエンドユーザー様に多大な影響を与えてしまう恐れがあります。また、自然災害や新型感染症等の不可避な事象により当社事業が重大な影響を受ける可能性もあります。
そのため因幡電機産業では各分野での情報収集を的確に行い、各部門に必要な裁量を持たせて現場でリスクが顕在化する前に対処すると同時に、リスクが顕在化した緊急時や危機発生の際には対策委員会を設置し、迅速な対策を講じる仕組みを構築しています。

(1)事業環境に関するリスク

① 価格競争

当社グループは新規参入企業を含めた競合他社との厳しい価格競争に晒されています。競争力強化に努めているものの、建設投資や設備投資が激減するなどの市場環境の変動により価格競争が熾烈化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 債権管理

上述のような市場環境の変動によって、中小業者の倒産が増加する危険性があり、当社グループでは販売先の定期調査分析を実施するなど債権管理に細心の注意を払っています。適正な貸倒引当金を計上し、営業保証金の受入や取引信用保険の活用など対策を講じていますが、想定外の倒産が頻発した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)天候に関するリスク

当社が製造及び販売する空調部材等は空調設備に付随する製品であるため、その販売量はエアコン国内出荷台数の影響を少なからず受け、最需要期である夏季の天候に左右される傾向にあります。したがって、当社の空調関連製品における市場環境の季節的変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3)事業の拡大・展開に関するリスク

① 品質保証

当社グループは品質保証の専任部署を設置し、製品の品質管理を行っています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく将来に損失が発生しないという保証はありません。欠陥の内容によっては、対外コストや製品の評価に影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 知的財産

当社グループは空調分野、住宅分野、産業分野等において研究開発活動を進めており、知的財産保護のため特許権をはじめとする産業財産権を出願及び取得しています。しかしながら、違法に産業財産権が侵害され、これらを盗用した模倣品により損害を被る可能性、競合他社が当社グループよりも優れた技術を開発し、現有する産業財産権が陳腐化する可能性は否定できません。こうした知的財産にまつわる重大な問題が予期せず発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ M&A

当社グループは成長戦略の一環としてM&Aを実施することがあります。しかしながら、M&Aにおける買収価格が常に適正、妥当であるという保証はありません。買収後の収益が、買収時に見込んだ将来の収益予想を大幅に下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4)調達に関するリスク

当社が製造及び販売する空調部材等は銅、鉄、ステンレス、樹脂等を原材料としています。これらは、国際的な価格変動により製造コストを変動させる可能性を有しています。原材料価格の高騰が当初の予想を上回りコスト増を自社で吸収しきれない場合、また原材料価格上昇分を製品価格に転嫁できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)法的規制に関するリスク

当社グループは多様な法的規制のもと事業活動を行っていますが、将来において不可測な規制変更、当社グループに不利益な規制変更が起こった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。一例を挙げると、建築基準法・消防法などの改正によって当社が取扱う製品の競争力が失われる恐れや、会計基準及び税制の新たな導入・変更等による影響などがあります。

(6)保有資産に関するリスク

当社グループが保有している土地、投資有価証券等において、その資産価値が時価等に基づき著しく下落した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)情報セキュリティに関するリスク

当社グループが保有する取引先情報や営業秘密・社外秘情報等が漏洩した場合、当社グループの管理責任を問われ損害賠償を請求される恐れがあるほか、情報漏洩によって毀損した社会的信用の回復には大変な時間や労力を要することが予想されます。また、システム障害や外部からのサイバー攻撃などによって社内システムが停止すると、当該システムの対象業務が処理不能となり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8)天災・感染症等に関するリスク

地震・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、新型コロナウイルス等の感染症の流行、テロや戦争、気候変動、その他の要因により社会的混乱等が発生した場合、事業活動の停止や建設工事や設備投資の先送りによる機会損失、設備の損壊による復旧のための多額の費用負担等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

事業継続計画(BCP)の策定

いついかなるときも、お客様へ商材の安定供給を行うことが商社である当社の最も重要な役割の一つです。
当社では、平時より災害等によるサプライチェーンの分断をにらんだ物流在庫戦略を展開し、サプライチェーン全体を俯瞰したBCPを策定、実行してまいります。
また、自社製品については主要製品であるエアコン関連部材の生産について海外のグループ工場(タイ・SIAM ORIENT ELECTRIC CO., LTD.)を含めて拠点分散を検討し、災害時のリスク分散に取り組むだけでなく、グループ工場のマルチライン化(複線化)も実現、柔軟性のある体制づくりに取り組んでいます。

安全保障輸出管理の徹底

因幡電機産業が取り扱う商品・サービスの中には、兵器あるいは兵器に転用される可能性のある輸出規制該当貨物(製品、部品、製造設備等)や輸出規制該当技術(ソフトウェア、図面、資料、指導等)を含む可能性があります。規制対象地域へ輸出や提供を行う場合には経済産業省の許可を得なければならないことが外国為替及び外国貿易法等にて要求されています。
当社ではこれら法令に準拠した「安全保障輸出管理規定」を制定し、関連社員への周知徹底を図り、仕入先様とも協働して必要な手順を遵守することで、戦争やテロ行為の回避、及び我が国の安全保障に貢献しています。

安全保障貿易管理の概要

  • 先進国が保有する高度な貨物や技術が、大量破壊兵器等や通常兵器の開発等を行っているような国に渡った場合、国際的な脅威となり、情勢が不安定化。
  • それらを未然に防ぐため、先進国を中心とした国際的な枠組(国際輸出管理レジーム)により輸出管理等を推進。
  • 我が国は外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、輸出管理等を実施。

※1「大量破壊兵器等」とは、核兵器・化学兵器・生物兵器・ミサイルをいう
※2「開発等」とは、開発・製造・使用又は貯蔵をいう
※3「輸出管理等」とは、貨物の輸出及び技術の提供の管理をいう

引用出所:「安全保障貿易管理について」令和2年1月
経済産業省 安全保障貿易検査官室

知的財産権を含む産業財産権の保護

因幡電機産業は空調分野、住宅分野、産業分野等において研究開発活動を進めており、知的財産保護やお客様に対する価値提供を確実なものとするために、特許権をはじめとする産業財産権を出願・取得しています。
しかし、違法に産業財産権が侵害され、これらを盗用した模倣品による損害を被るリスクや、新たな技術開発や法令規制改正により、現有する産業財産権が陳腐化するリスクもあります。また他者の産業財産権を意図せずして侵害するリスクもあります。
当社では、「産業財産権管理規定」を定めて産業財産権を管理するとともに、最新の技術情報の取得に努め、これらのリスクを適切にコントロールしています。

当社が管理する産業財産権に関わる法規制(例)

  • 特許法
  • 実用新案法
  • 意匠法
  • 商標法
  • 著作権法
  • 不正競争防止法    他

セキュリティの強化

情報セキュリティの管理体制

因幡電機産業は、コンプライアンス委員会の下部に「情報セキュリティ委員会」を設置し、日々高度化する情報セキュリティ脅威への対応を行っています。社員に対しては定期的に情報セキュリティに関するテストを実施する等、情報セキュリティガバナンスの強化に努めています。また、情報漏洩や紛失などの情報セキュリティ上の事件・事故の発生を未然に防止することを目的に情報セキュリティガイドラインを別途定め、社員等に周知、指導しています。


情報セキュリティガバナンスの強化

個人情報や機密情報、またお客様やメーカー様からお預かりした情報・データを適切に管理することを目的に、因幡電機産業・情報システム部ではいち早くISO/IEC 27001に準拠して情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を構築し、 2007年に認証を取得しています。

サイバーセキュリティの強化

近年ではサイバーセキュリティ対策の重要性が高まっています。因幡電機産業では、デジタル化により重要視される情報管理の強化策として、自社サーバーの仮想化/冗長化、外部サービスを利用した常時監視体制の整備等を進めています。同時にマルウェア対策、特に標的型攻撃への社員の対応力向上を図る教育訓練を行っています。